経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

ほめる・・・

あるクライアント企業での話です。



社長は、それまでいた会社でスーパー営業マンとして相当に貢献した後、独立して会社を始めて数年です。

社長が先頭に立って頑張っているため業績は順調に伸びてきています。



しかし今後を考えた場合、自分一人ではなく、幹部社員の育成を目指したい、

その前段としてまずは何人かに会って話を聞いてくれという依頼に応じて

私は数人と面談しました。



社員の方々の会社や社長に対する思いを聞いた訳ですが、

そこで出た話としては、



「社長はスーパーマンすぎてついていくのが大変」

「社長の要求水準が高すぎる(一度も満足していただいたことがない)」

「社長からの叱責がつらい」



というのが典型的なものでした。

社長の力量や経営方針については、社員は納得(というより尊敬)しているのですが、自分たちの力とは大きなギャップを感じているようでした。

社内の雰囲気も「暗い」とのことでした。



社長としては、

「そんな低いレベルで満足してもらっては困る」

「そんなにすごいことを期待しているわけではない」

「自分は(サラリーマン時代にも)もっと大変な仕事をこなしてきた」

というわけです。



社員に高いレベルを要求するのは間違ったことではないと思いますが、

「一人一人が経営者的感覚で・・・」と要求することに無理があるのと同じで、

社員に、疲労感(大げさに言うと絶望感)を感じさせていました。



私は、社長に、

「すべての人が社長と同じ能力や志を持っているはずがないです。相手は経営者ではないし、スーパーマンでもないのですから。」

「それより、できたことがあれば、少しでもほめてあげたらいかがでしょうか。」

と申し上げました。



反応としては「そうですかねえ・・・」という感じで必ずしも納得しておられたようでは、ありませんでした。



それから1年以上たって、再びその会社で、何人かの方と面談したのですが、

社内が明るくなったというのです。ちょっと驚きました。

面談の中で、何人かの方から出たエピソードが、

「社長のパソコンに(スクリーンセーバーに?)『ほめる!』と書いてあるんですよ。」

というのがありました。



なかなか偉いですね。この社長。

益々業績は好調のようです。



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本日のまとめ(この社長から逆に学んだこと)

①会社の方針がはっきりしている。

②その方針に沿って、社員には、遠慮せず、妥協せず、高いレベルの仕事を求める。

③社員がそれに向けてがんばって、(少しでも)成果を出したら、きちんとほめる。



私自身にとっても非常に勉強になる経験でした。