経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

親族経理の落とし穴

中小零細企業にとっての金庫番=経理責任者は、親族に任せるのが安心とされています。



経理担当者は、現金を触ることが多いですし、手形・小切手も使う場合は、誰に実務をさせるかについては、なおさら(経営者としては)神経を使う部分ですね。



確かに信用できる(裏切らない)人材を使うことが第一ですので、その意味では親族に経理を担当してもらうのが正しいと思います。とくにスタートアップしたばかりの企業では選択肢も他にありませんし。



ところが、私自身の経験ですが、苦境に陥っている数多くの会社を見ていると、親族に経理を任せるのがよいのかどうか疑問に思えてきます。



社長の配偶者が経理の責任者と言う会社が多いのですが、どうも社長への報告が、口頭だけで済まされ、文書や数字での記録が徹底していないことが散見されます。



社長の追及も甘くて(親族に遠慮して?)、なあなあになりがちで、後で問題になっていることも多いです。ファイリングがきちんとされていないので、他の人では何が何だかわかりません。



会計事務所任せになってしまっていて、会社で数字がわからない会社も多いです。こういう会社では月次の数字がわかるのも遅いです。



拙書「本当に強い会社をつくるための新常識」にも書きましたが、経理財務の関係資料や業績管理の資料ががきっちりしていない企業は、どこかで厳しさが足らず、業績が傾く可能性があります。



もちろん配偶者(や親族)の性格にもよるので、「几帳面な」人であれば問題ないのかもしれませんが、そういう人ばかりとは限りません。



会社規模が大きくなって、チームで、総務経理を行うことになると、「几帳面でない」性格が、間接部門全体に広がってしまいます。



と言うわけで、ある程度の規模となったら(あるいは規模を大きくしようと思っている場合は)、経理財務担当は、「親族でない人の方がよいかも」という観点で再検討することをお勧めします。