細谷功さんの「会社の老化は止められない」(日経ビジネス人文庫)を興味深く読みました。
とくに会社の老化現象を鋭く分析・記述している前半部分は思わず大きく頷いてしまう内容です。痛快なのであっという間に読んでしまいました。
いくつか付箋を貼った箇所があるのですが、その中でも、「全体最適とは一般に部分最適の積み上げではなく、『部分非最適』とセットのものだからである。」というところは、ちょっとシビレました。
そして思ったのですが、部分非最適に持って行くことは自然体では無理なので、そこにトップマネジメントの機能が必要なのではないかということです。
事業部に「経営」機能をぶん投げてしまっている社長が世の中には結構いますが、それでは会社としての全体最適になるはずがありません。事業部ごとの最適を持ち寄っても会社としての最適になるわけではないので、悩んで取捨選択しながら、部分非最適を作り出すことが社長の仕事なのです。「そこはいいよ、そのくらいで」と。あるいは「あえてそこはやめておこう」とか「そっちを犠牲にしてでもこっちはやる」とか。
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細谷さんは「非効率な定例会議の増加」や「業務に占めるルーチンワークの増加」も会社の老化現象の表れと書いています。「考えてみれば、組織に限らず人間も、老化が進んでくるといつもの店でいつものものを頼んでしまうことが多くなる。・・・ストーリーが決まっている水戸黄門が好きになっていくというのとも根本は同じである。」とは、なかなか笑えました。
あるお店の顧客になり、大事にされると、他の店に行かなくなってしまうという行動パターンは年を取った証拠なんですね。若い人向けの店より年配向けの店の方が、顧客管理の効果が上がりますもんね。というわけで、自分の行動様式も改めようと思った次第です。