昨日(8月19日)の日経朝刊3面の「中小・零細の廃業支援を」という冨山和彦さんのコラムは正鵠を射た意見と思いました。
曰く
「(雇用が過剰な時代は終わったので)生産性の低い企業が社会的に存在する意味がなくなった。生産性が高いところに労働力が移るよう中小企業政策を百八十度転換すべき時だ。」
「最低賃金も上げたほうがよい。最低賃金でしか成り立たない事業者が撤退する効果は大きい。」
中小企業の保護政策は不要ということです。
デービット・アトキンソンさんも、最近の著書「日本人の勝算」(東洋経済新報社)で、日本人の「中小企業好き」が、生産性の低さの遠因であると言っています。最低賃金で社員が働くような中小企業がたくさん存在していることが問題とも。
最低賃金の継続的な引き上げが日本経済を変える「要石」と強く主張しています。
池井戸小説で言えば「佃製作所」はともかく「こはぜ屋」はあり得ない感じでしょうか。
金融機関勤めから一貫して中小企業と付き合ってきている私としても、概ね納得せざるを得ないポイントを含んだ主張です。
つらいですけど。
やっぱり社員に低すぎる賃金しか払えない企業は、生産性が高いはずがなく、そいう言う企業は撤退すべきということです。
私が中小企業庁で中小企業白書を執筆した平成の始めのころ開業率の低下が問題となり、その後、国は一貫して、創業支援を重要政策としてきていますが、この創業支援という国の政策も、生産性の低い単なる零細企業や商店の起業を促すことの意味は全くないので、絞ったほうがよいとシビアに考える時と思います。