知人に「経営の勉強になる」と勧められて、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでいます。
文庫本で全43巻です。まだ13巻(「ユリウス・カエサル ルビコン以降(下)」までしか来ていません。
(先週から今週にかけて「ダウントン・アビー」のDVDに「はまら」なかったらもう少し進んでいたのですが・・・)
いろんな戦闘の話が多く、その戦略・戦術がそれ自体面白いのと、
政治家の考え方は非常に参考になります。
塩野さんが大ファンのユリウス・カエサルは、
「人間ならが誰でも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は見たいと欲する現実しか見ていない」
と言ったそうです(これが意訳すぎるという批判もあるようですけど)。
確かに凡人は、「見たいと欲する現実しか見ない」ことが多いですね。
私の経験では、こういった人は、中小企業の経営者にも多いように思います。
会社のトップは結構それで許されたりしますし。
経営コンサルティングの一環で、ある企業の全員の社員と面談し、会社の問題点や希望することを聞く機会が最近ありました。どうしても不満が多くなるので、すべてのことを社長に伝える気はしないのですが、対応すべき課題を抽出して社長と話をしました。「なんだよ」と思うのが普通と思うのですが、この社長は、素直に受け止めて、着々と対応策を打ち出しています。
こういう企画をよしとすること自体、カエサルの言う「多くの人」と違って素晴らしいですし、課題に真摯に取り組む姿勢も素晴らしいと思います。もちろん悩みながらやっておられると思いますが。
「見たくない現実もきちんと見る」経営者になりたいものです。
私自身は、「従業員の満足度が高いほど顧客満足度も高い」というテーゼには、やや懐疑的な面もあるのですが、従業員の話も「現実」でして、これから目を(耳を)背ける訳にはいかないですね。