超売れっ子作家(学者)の楠木建さんの最新作『「好き嫌い」と経営』は、今をときめく経営者の方々との対談集です。冒頭の永守社長とのやりとりやがたまらく痛快で思わず読み進んでしまいました。
この本に載っているスタートトゥディの前澤社長との対談の中で、楠木さんが、
「情報と注意ってトレードオフじゃないですか。・・・情報過多になったら受信するだけで考える余裕はなくなってしまう。」と発言しています。
確かに、新聞を読んで、テレビを見て、スマホでヤフーニュースを見ている経営者より、
思索に集中している経営者の方が仕事ができる傾向がありそうです。
まあ暇がないから止むなくそうなっているということもあるかもしれませんけど。
さて、楠木さんのこの本を読んでいて思ったのは、対談相手について徹底的に研究しているなあ、ということです。
○○が好きと聞いていますとか、子供のころは○○と言われていたようですね、とかの発言が髄所に出てきて相手を驚かせています。これは対談相手に好印象を与えますね。話がどんどん弾んでいきます。
そこで思い出したのが、ニューヨークに派遣してもらっていたころ、会社のかなり上の先輩が、役員(元官僚)に同行してNYに来たときのことです。その先輩は、役員のことを徹底的に調べていて、その役員に関する新聞や雑誌の記事の切り抜きでノートを一冊作っていました(インターネットのまだあまり普及していない時期です)。
ひょっとしたらサラリーマン的には、同じようなことをしている人もいるのかもしれませんが、当時の私には思いもよらぬことだったので、そのノートを半ば呆れて(ややうんざりしながら)眺めさせてもらいました。まあすごい執念でした。
その先輩は、その後、ちゃんと人事部長に出世されています。
当時はどうかと思いましたが、相手のことを良く調べるというのは、ビジネスをしていく上では、大事な姿勢ですね。
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漫然と情報を集めても価値は低いですが、目的意識を持って集める情報の価値は高い、というのが本日の結論です。