日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」は好きなコーナーで毎回読んでます。
最新号では、田邊耕二氏(ユーシン社長)を取材しています。
別に「敗軍の将」ではなく、立派な会社の社長(兼会長)なのですが、後継者を公募してうまく行かなかったという話です。
2010年の公募では、最低年棒3,500万円に1700人が応募したようです。
外務省出身の人を社長候補(取締役)にしたものの「働きぶりから後継者には適さないと判断し、取締役から外れてもらいました(その後退社)」とのことです。
ヘッドハンティングでもうまく行かず、2度目の公募は、最低年棒1億円にしたそうです。
しかし、「適任者はいませんでした」とのことで公募は打ち切られています。
ユーシンには社員が8000人以上いるようですが、「社員の中に候補はいない」そうです。
いろいろと考えさせられました。
私が考えたことは、
①社長という機能への「要求水準の高さ」。これはなかなかのものです。同族だからと言って子孫に任せるよりは、従業員のために(上場していれば株主のために)、あるいは取引先のためになる考え方です。
②英語へのコンプレックス。ユーシンはグローバル展開を重視しているとはいえ、次期社長は「英語が話せ」なければならないことへのこだわりが強すぎると思います。今後は外国人の候補者を探すらしいですが、その理由が「英語を話せる」というのであれば問題ですね。
③会社の規模1600億円)や利益水準からして、リーディングカンパニーとは言えない内容と思いますが、社内に「適任者がいない」と言い切る粗雑さ。無神経さ。
④絶対的なオーナー的存在があるのに、外部の人が社長に応募するか?これは、自分自身がオーナー企業に社長候補とか言われて入社して放り出された経験からして相当に???です。
ユーシンのホームページの「会社のあゆみ」を見ると、2012年10月に「中興の祖・田邊耕二之像の除幕式」とありました。
これはやっぱり厳しいですね。