幹部に部下を甘やかす人がいると、その会社は弱くなるという趣旨のことを一倉定さんは言っておられたように思います。
社員から、様々な不満が出たときに、やや???という内容であっても、その場で突っぱねずに「そうかもしれんな」「社長に折を見て話しておく」などと甘いことを言って、社員を増長させ、期待が叶わないとなると、さらに社員が不満をつのらせる・・・
これは単に「部下にいい顔をしたい」という幹部の話ですが、中には、意思を持って部下の話を聞き、トップと社員との間をつなごうとする人もいます。
アパレル企業に幹部として勤めていたとき、自分ではそうしていると思っていました。
部下が失敗をやらかすと、一緒に社長のところに行って謝ることは多かったですね。
社長は社員には厳しい人でしたが、私を立ててくれていたので、同席すると、あまり怒らないので、部下からは私が頼りにされていたように思います。
ただ、今になって思うと、あんまり意味がなかったのかな、と思っています。
その場はなんとかとりつくろえても、会社としてはなにも変わっていないし、社風に合っていない社員を引き留めていただけ、とか、厳しいことを言わないので社員の成長を遅らせていただけ、なのではなかったかと思っています。
やっぱり幹部が社員を甘やかすとだめなのでしょうか。
これとは逆の話ですが、先日ある企業(A社)でインタビューしたとき、何人かの幹部は、「厳しいことは自分たち(幹部)が言うから、社長には、社員をほめてほしい」と口々に言っていました。この会社では、社長が直接に細かい小言を言うので、社員のモチベーションが下がっているようでした。
私のいたアパレル企業で同じインタビューをしたとしたら、「社長にこうしてほしい」なんて誰も言わなかったでしょうね。皆、「社長が変わってくれるはずはない」と諦めていましたから。そう考えていくとA社の方が、社員(特に幹部の)モチベーションが高く、今後に期待して良いのかも、と思った次第です。