日本経済新聞の、なぜか「文化面」に載っている、「私の履歴書」は正直言ってあまり好きではないコラムです。
ここに載った創業者や会長の会社の業績が、(掲載時にピークで)その後落ちて行く傾向があるというのは、よく言われていることですし、どうしても自慢のオンパレードになってしまうからです。
ただ、現在掲載中の、TDK元会長・澤部肇さんの「私の履歴書」は、たいへん面白くて、ネットにて何度も読み直しました。TDKは記録用の磁気テープの売上がプロダクトサイクル的に急激に下がっていく中で、電子部品の会社として生き延び、かつ成長を続けているとても珍しい会社として注目していました。
このコラムでは、特に先代、先々代の社長とご本人のやりとりが興味深く、大企業でも(あるいは大企業だからこそ、もっと言うとオーナー企業ではないからこそ)、後継者を誰にするか?どう育てるか?に真剣に取り組んでいるのだな、ということがよくわかりました。逆に言うと、非オーナー企業が(非オーナー企業でも?)、なぜ立派な業績を上げ続けることができるのか、いろんなヒントが書いてあります。
そのなかでも、連載第20回の「甘かった形だけの処分案〜大先輩に社長の心得教わる〜」が特に面白く、「若い頃、当時の社長の素野さんに東京駅近くの一等地の本社ビル購入を提案したところ「あほ、先行投資は人にするもんや。」と叱られた・・・の下りが最高でした。
そうですよ。
企業で、一番大事な先行投資は、「人」ですよね。
大企業は、ものすごく金をかけて採用活動・育成活動をしています。将来のために。
中堅中小の企業も、同じ、あるいはそれ以上の努力をしていかないと、将来はありません。
弊社でも、今、一生懸命、採用に時間をかけています。
申し訳ないと思いながら、一番仕事のできる社員たちに面接や面接の準備に時間をとってもらって次世代の社員を採用しようとしています。
その成果は絶対にある!と、この年末に、改めて、その重要性をかみしめております。