経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

キャッシュレス化は企業にも必要です

会社を始めてからもうすぐ11年になりますが、一度も会社で現金を扱ったことがありません。

一度も会社の口座からキャッシュカードで(通帳でも)現金を引き出したことがありません。

私も社員もかなり出張は多いですが、遠方も含め交通費は個人ですべて立て替えてもらって月に一回給料と一緒に振り込んでいます。

仮払もしたことがありません。大きな金額の立替は社員個人の負担もありますが、カードで支払うに決まっています。給料日よりも決済日が早いということはまずありませんので。

ですので、現金の管理の必要は全くありません。

 

かつて事業会社にいたとき、経理の係員が仮払いの清算に相当な時間を使っていたり、やっている仕事を中断して、無秩序にやってくる社員たちに現金を渡したりしていたのを見かねて、改めたことがありましたが、経理では現金を扱うために、それまで相当な無駄時間を費やしていました。

 

事業再生の現場では、帳簿上の現金残高が実際と会わないということがしばしばあります。

会社規模にもよりますし、釣銭のいる店舗をやっているかどうかにもよりますが、帳簿上、数百万円も現金があるのはウソの場合が多いです。

ある会社などは、帳簿上1億円以上の現金があることになっていました。社長に聞くと、「そんなのあるわけないでしょ」と言われ唖然とした記憶があります。

あってはならないのですが、社長が、使途不明的に使ってしまい、矛盾が現金勘定にしわ寄せされていることも少なくありません。

 

オーナー社長がやっているなら、まだ自業自得(?)なのですが、経理の担当者が現金勘定を使って横領をしていることがありました。

手口は、

①銀行に行って会社の預金口座から現金30万円を降ろしてくる。

②20万円だけ金庫に入れて、10万円は懐に入れる。小口現金として20万円だけ記帳する。

③その後、経費の支払い請求、例えば電気代の請求が23万円きたとすると、33万円支払ったことにして記帳をして、預金残高を合わせる。

請求書通りに払っていますので、請求元からは何も言われませんし、預金通帳残高と帳簿上の預金残高も合っている訳です。請求書と経費として記帳された金額を突合(あるいは記帳内容と通帳の一行一行を突合)しないとバレません。

この経理担当者は、これを月に数十万円、何年もやっていたので、合計ではひょっとするとかなりの額を横領していたようです。

まあ、現金を扱っているからというより、ダブルチェックがないからという問題の方が大きいわけですが・・・。

 

消費の現場ではキャッシュレス化が進んでいますが、企業でもキャッシュレス化を進める意味はあります。

神経を使っての管理が面倒ですし、誰かがたまに銀行に行かなくてはならないです。金庫も封筒も要りますしね。