経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

苦境に立つアパレル企業で使える指標とは

アパレル企業の苦境が伝えられて久しいです。

さらにコロナ禍で春物の売上は壊滅的でした。夏物以降は意外にがんばっている企業も多いようですが。

 

私は、1999年~2003年に、アパレル企業で働いていたため、特別にこの業界については興味を持っていますし、

コンサルティングのクライアント企業としても現在も何社もお付き合いしています。

 

アパレル企業にいた時期は、景気が良かったわけではありませんでしたが、

毎年、コレクションで仕掛けられた大きなトレンドが毎シーズンあって、それに合わせて企画し、受注を予想し、

受注後生産を調整し、店頭で売れればできるだけ増産して追っかける(QR)、それらの精度を高めることで、利益は出ていました。

ユニクロがメジャーになり始めていましたが、セレクトショップなども元気で、まだ高額の洋服が売れていました。

 

プロパーでの消化率は、AWは11月末、SSは6月末で締めて70%を目標にし、セールで85%まで高め、アトリエセールで90%くらいにして、残品率は10%程度でした。

残品は、中国の企業に上代の10%~15%程度で引き取ってもらって、最後の5%程度は廃却しました。

翌年へのキャリー在庫はほぼありませんでした(一部のコート等の高額品のみ)。

 

その後、コンサルティング会社に勤めることになったのですが、そこでのクライアントのアパレル企業が、キャリー品(旧品)を大量に抱えて、その販売目標を営業に持たせていたのはカルチャーショックでした。

受注予測とは関係なく、高い目標で新作を生産するので当然消化率が低く、大量の残品が発生するわけで、それを翌年以降一生懸命売っていました。

 

残品はできるだけ生じさせないような数量で生産するのはもちろんですが、残品を生じさせてしまったら、それを強引に売るのはあきらめて、大幅に値引き処分するとか、最悪捨てるとかして、損出しして、翌年への悪影響を断ち、翌年はちゃんと新作を売る。ファッションビジネスなんだから、時代遅れのものを売っているのはどうかと思いますよ。ということで、やり方を相当変えてもらった記憶があります。

 

それからしばらくして、東京ではなく、地方のアパレル企業と何社も付き合うようになったのですが、いずれの企業も生産過多で消化率が低く、旧物を何とか売ろうということに労力を割いているのをずっと見てきたために、最近では自分自身の感覚がかなり変わってきてしまっています。

 

この7月に発売された「生き残るアパレル死ぬアパレル」(河合拓氏著、ダイヤモンド社)を読みましたが、

そこでは、アパレルビジネスをコントロールする重要指標として

①プロパー消化率

②オフ率

③商品企画原価率

④残品率

を上げていました。

アパレル関係者であれば当然の指標と思いますが、あらためて確認できたのはよかったです。

あるいは、まだこれらが多くの企業で明確になっていないことが、深刻な問題なのだと認識を深めました。

私としては、店頭を持っていないアパレルでは、消化率の前に受注率(生産倍率)が生命線だと思います。

 

それにしても

「生き残るアパレル死ぬアパレル」(上記)

「アパレルサバイバル」(日本経済新聞出版社)

「アパレルは死んだのか」(総合法令出版)

「誰がアパレルを殺すのか」(日経BP社)

とか、近年出た本は全部読んでいますが、どれも「生きるか死ぬか」がテーマになってしまっていますね。

つらいのは、ちょっと前に、これからの会社としてとりあげられていたアパレル企業が、もう勢いを完全に失っていることです。

特効薬はないということですね。