もう巷では「いま必要なのは、DXによるCX(コーポレートトランスフォーメーション)だ」というメッセージで溢れています。
IT投資額の目安は年商の1%くらい(人件費を除く)と言われているようで、20憶円の企業だと、年間20百万円ということになりますね。
私共のクライアントも、IT投資に前向きなところが多いです。
最近も、ITの専門家と組んで、診断的なことを何件かやりました。
私の今までの認識では、
①なんでも一つのシステム(ERP)で行おうとすると、返って複雑で大変になる。とくに財務会計は業務システムと切り離した方が正確で速い。
②世の中のベストプラクティスが詰まっている標準的なシステムに業務を合わせていった方が合理的。カスタマイズは、やりすぎない方が業務が効率化する。
というものでしたが、先般、熟練のIT専門家から指摘を受けたのは、
「生産(製造)などの企業のコア業務は、標準化されたシステムでは限界があるので、カスタマイズするしかない」ということでした。
結局、大手の作成したものも含めて汎用的な生産システムの良いものは今まで作られていない、らしいです。
恥ずかしながら、そういうもんなのか、と思った次第です。
確かに、どこでも概ね似通っている間接業務(例えば受注・発注)は、標準的なシステムに合わせたほうがよいのですが、
コア業務は相当に各社違っていて、そこが特徴(強み)になるのかもしれません。
ただ、コア業務の中でも、汎用的なものでカバーできる部分とそうでない部分があるのでしょうけど。
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だいぶ昔の話ですが、ビジネススクールの実際の企業プロジェクトで、大規模なMRP(所要量計算のシステム)を入れているのに、部品在庫が切れていることが多く、相談に乗ってほしいというので、いろいろと現場のヒアリングをしました。受注→部品表(BOM)への展開→安全在庫をみた部品発注というシステムなのですが、生産工程が何段階にも分かれていて、各工程での製造ロットがバラバラ(作りやすいまとめ生産)なので、途中の工程が作りすぎると当然に部品が欠品となっていました。
これなども標準的なシステムを入れればいいというもんではない、という例でした。ちょっと懐かしいです。