経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

「マクドナルド失敗の本質」

小川孔輔氏の「マクドナルド失敗の本質」(東洋経済新報社)を読みました。

これは、経営戦略・マーケティングのケーススタディーとして相当に面白いと思いました。

ジャーナリストではなく学者のちゃんとした分析ですし、わかりやすく生々しい話で、とても勉強になりました。お勧めです。



原田泳幸氏は、一時はカリスマ経営者の代名詞のように扱われていたのに、今では、ベネッセでも「悪病神」と言われてしまっているようです。



私自身は原田氏がマクドナルドで絶好調だったころから、テレビで彼の話を聞くたびに「??」と違和感を感じていました。実績はあげていましたが、言ってることはどうも同意できなかったのです。

これはだいぶ前にこのブログでも書いていたので、後講釈ではないことはわかっていただけると思います。



この小川氏の著作では、原田時代の前半と後半を藤田田氏(創業者)時代のの前半後半と比べながら詳細に分析しています。



藤田氏の温情主義に対して、原田氏は米国流で、早期退職者を募集したり、販売が伸びないFCとの契約を更新しなかったようですが、問題はそこではなく、同じ戦法がずっと続くわけではないこと、短期間だけに有効な作戦をずっと引っ張ることは無理があるないことではないかと思います。



やたらと値段を下げて一時にライバルを蹴落としても最終的に自らの商品価値を下げることになってしまう。

採算性が低いとやたらと店を閉めて、効率を追求しても、逆ドミナント減少で、「マック難民」を生じ、最後はお客さんが減ってしまう。

直営店舗を売却してFC化し一時的に利益を出しても、QSC(品質・サービス・クリーンリネス)が低下して、やはり客離れがおきてしまう。



マックナゲットの問題や異物混入の問題以前からマクドナルドはおかしくなっていました。

原田氏が言い逃れできないことは多いのではないかと思います。

ものすごく精神力が強くストイックな人だと思いますが、そういう人が間違うと、ちょっと大変です。



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1990年代の中ごろ、藤田氏が、「勝てば官軍」と鼻息荒いころに話をナマで聞いたことがあります。

ユニ・チャームの高原氏(前会長)との対談だったのですが、高原氏がご自身の経験として社員の誕生日に一人ひとり手紙を書くという話をされたとき、藤田氏はかなりバカにして、「そんなこと必要ないんですよ」と言っていました。

それでも藤田氏は温情主義のマネジメントスタイルだったのですね。この本で初めて知りました。

なんだか人間味のある方だとは思っていましたけど。

懐かしいです。