先週、大田区大森のダイシン百貨店が5月上旬に閉店するとのニュースが流れました。
数年前の「カンブリア宮殿」で、高齢者をターゲットにした百貨店として
東急ハンズの大型店を上回る18万点の品ぞろえで、行列ができる百貨店として取り上げられていました。
漬物だけで100種類を超えているらしいです。
地域密着戦略で「半径500メートル内のシェア100%」を標榜していました。
ターゲットが明確な戦法は、記事にしやすいので、日経をはじめとして随分取り上げられていました。
しかし、その実態は、9店舗350億円の売り上げを誇った昭和の時代から、ずっと縮小を続けて
大森本店の1店舗になってからも売り上げの減少は止まらず、
2010年に77億円あった年商は2016年1月期は53億円で経常損益は8千万円の赤字ということです。
個人的な話になりますが、2005年に自宅近くにあった久が原店が閉店した印象が強くて、大森店を持ち上げる報道に???と思っていました。
やっぱリ経営は苦しかったのでしょう。
ドン・キホーテが20億円で買収して、23区内初のMEGAドンキとして6月にもオープンするとのことです。
(ドン・キホーテは以前からお金を出して経営に噛んでいたようです。)
高齢化が進む日本で、高齢者だけをターゲットとする戦法は間違っているとは言えないのでしょうけど、
すでに高齢化が進んだ地域では、それだけでは生き残れないということでしょうか。
MEGAドンキでは30代~40代の層を取り込んでいく方針のようです。
話は少し変わりますが、地方の商店街で、「おばあちゃんしか買わないのではないか」と思われる洋品店をよく見かけます。
家賃を払っていないのでなんとかやっているんでしょうけど、あのタイプの店でいくら品ぞろえを広げたり、サービスを強化しても厳しいですよね。
というわけで、やや雑駁になりますが、
①高齢者をターゲットとするからといって店舗改装などに金をかけずに昭和の香りを漂わしていてはやっぱり難しいのではないかと思います。じり貧ではどこかで限界がきてしまいます。厳しい話ですが、新規投資ができないなら、早くやめたほうが良いかもしれません。
②ニッチ市場を狙うのならば、地域的にはある程度広いところから集客する必要があります。狭い地域顧客に密着していても、顧客自体の減少には逆らえないわけです。シニア対象でも巣鴨のケースのように広域集客もありえますが、難しいことではあると思います。
③アパレルが典型的ですが、シニアを追いかけていると、本当にシルバーだけが顧客になってしまいます。ターゲットを絞りつつもどうやって魅力のある商品・サービス・ブランドでありつづけるか?やっぱり「若さ」が、その魅力の重要な要素なのではないでしょうか。
などといろいろと考えさせられるできごとでした。