最近読んだ本の中では、清武英利さんの「プライベートバンカー」(講談社)がおもしろかったです。いろんな意味で。
①舞台であるシンガポールの経済:一人当たりGDPが52千ドルで日本の1.6倍と断然上であり、数字で見る限りともかく豊かであること(政治面では政府の思想コントロールが強く、明るい北朝鮮という見方もありますが・・)
②本物の金持ち:日本を脱出する金持ちの生態が書かれていること。プライベートバンカーは、1億円以上の金融資産を持つ金持ちしか相手にしない。2億円以下はお断りというバンカーもいるらしいです。
③非居住者:5年以上、日本の非居住者であれば子や孫に相続したり、贈与したりしても海外の資産には日本の課税が及ばない。そのため「退屈」と戦いながらシンガポールでぶらぶらしている人がそれなりにいるよう。国税の対応も興味深いところです。
④プライベートバンク:私事ですが、30代のころ、ある外銀からプライベートバンキング部門で働かないかと2度ほど誘いを受けた経験があるので、もし、あそこで働いていたら・・・という思いもあったりします。
⑤筆者:あのナベツネさんに巨人軍のオーナー代行を解任された清武さんが筆者です。この方の「しんがり 山一證券 最後の12人」も興味深く読みました。テーマがいいですね。
というわけで、現在のシンガポールと日本の富裕層の実態をクローズアップする小説(しかも実話に基づいています)として大いに楽しめますので、お勧めの一冊です。