半年くらい前の話です。
知り合いの社長の紹介で、弊社に相談に来られた中小企業の社長の話を聞いていて、つくづく思ったのは
「今やっていることを止めて違うことをするのは本当に大変なことなんだろうな」
ということでした。
その会社は、かなりの赤字。不況業種で、この先もあまり期待でいない状況です。銀行への返済は滞っている上、社会保険料や住民税、源泉徴収税も滞納しており、客観的には「終わっている」会社です。
決算書を拝見したところ、役員報酬はPL上は出ていないのですが、その代わりに、ノンバンクから借りた資金で社長に貸付金という形で出しているようです。しかもPL上はしっかり交際費を計上していたりします。
聞けば社長は、有力なコネクションを持っていそうでしたので、「もうこの事業はいったん整理して、ご自分の強みを生かした新しい事業をやったらいいではないですか。」
と申し上げたのですが、全く聞く耳はないようで、月何百万円もの売上UPは可能で、なんとかなるという見通しのようです。
ただ、具体的に尋ねると、とくに今までにやっていない方策があるわけでもないようで、悪く言えば、「違う環境で一からやり直すのがしんどい」としか受け取れませんた。
私は、整理をやたら勧める弁護士やコンサルタントと違って「事業を止めたほうがよいのでは」とは、(とくに最初からは)言わないタイプの人間なのですが、この時ばかりは、違う対応をしました。
もちろん、その会社は、今でもなんとか倒産を免れてやっているようです。しかし業種的に考えて、状況はよくなってないと想像します。
これだけ人手不足の世の中になってくると、生産性の低い事業、生産性の低い産業、生産性の低い仕事は、なんとかケリをつけて、止めてもらい、労働力を解放してもらったほうがよいと、改めて強く感じたできごとでした。
生産性の低い会社の(摩擦を少なくしての)廃業促進や事業転換は、変な補助金なんかより、国策としてますます必要ですね。
もっと違う分野で活躍してもらいたい人材はたくさんいると思います。