建売の料金で注文建築を売り出せば、
(よっぽど信頼がない場合を除いて)
受注は増えて売上は上がるに決まっていますが、
事業として成り立ちません。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、
実は結構、この話を地で行く企業が多いのが現実です。
最近、注文生産で一品ものの機械や自動車をつくる会社と
お付き合いする機会がたまたま何回かありました。
一品ものは、規格品の大量生産と違って、
中小企業の小回りを効かせた対応力が活かせる分野と言われています。
細かい注文に応えてくれる会社があるのは、顧客にとってメリットが大きいので、
ニーズがあり、売上の確保はまずまずできます。
しかし、いろいろと聞いてみますと、どうやら会社の能力的には、
お客様からいただくお金の範囲内で注文の品を作れないことがわかってきます。
工数計算や原価計算をしていない(あるいは正確でない)ので、
個別の損益が合っていないのが明白になっていないだけです。
それでも、仕事量が多ければ、個別の限界利益はプラスですから
なんとかトータルでたいした赤字を出さずに済むのですが、
仕事量が減ってくると、全くの赤字になってしまいます。
つまり、元々合わない仕事をしているという残念な結果になりかねません。
「個別の注文に細かく対応できる」というのは「コストも合わせることができる」
というときに初めて自社の強みとなります。
この自明の理をもう一度噛みしめてみる必要があるのかもしれません。