経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

暮れに日本の「ものづくり」企業について考える

なんといっても今年は、

シャープ・ソニー・パナソニックの赤字額に驚かされました。

そこで年末に

「ものづくりからの復活」藤本隆宏著

「電機・半導体大崩壊の教訓」湯之上隆著

「日本式ものづくりの敗戦」野口悠紀雄著

の3冊を立て続けに読んでみました。



藤本氏の著作は、何冊も今までに読んでいます。

日本のものづくりの現場に精通して「すり合わせ」による

日本の技術力を高く評価している方で、

国内に良い生産現場を残すことの意味を強く主張しています。

たぶん中小企業の現場をこの3人の中では一番理解されていると

思いますが、それだけに現場を持ち上げすぎているという印象です。



湯乃上氏は、日立にいて、エルピーダに出向した経験も持ち

ルネサスの内情についても明るい方です。

サムソンに日本企業が負けたのは、技術力ではなく

「マーケティング力」(と経営力)の違いによるものと主張しています。

それだけなら、今からでもなんとかなるような気もしますが、

もっと根源的な問題があるように思えました。



野口氏は、私が学生時代に同じキャンパスにいた先生です。

おそらく国内の中小企業の現場など全く知らない人と思いますが、逆に

この3人の中では、私のテリトリーで一番参考になることを書いています。

要約すると、「(たまたま現出した)製造組立工程という中間段階の利益率

が最も高くなるという日本製造業の構造こそが、問題であった」。

これは世界的には珍しいことで、企画開発という最初の工程と

販売という最終工程が儲かるのが普通であり、

製造組立工程は、フォックスコンなどのEMSに全くかなわないので

儲かるはずがない、というものです。

事実に立脚しているだけに否定しがたいところです。

製造業についてだけではなく、日本企業の進むべき道を示した好著です。

ぜひ読まれることをお勧めします。



現場力は弱いより強いほうがよいに決まっていますが、

そこが多くの企業の(本質的な)問題ではなく、

戦略(企画・開発)力と販売力こそが問題であること

いうことは私自身の経験上でも強く認識してきました。



ということで、来年も、私としては、

戦略と販売に力を入れて行きたいと思っています。