著書「なぜ会社は変われないのか」で有名な柴田正治氏は
最新作(金井壽宏氏との共著)「どうやって社員が会社を変えたのか」で
いすず自動車が、1990年代の初頭の不振からどうやって立ち直ったのか
について克明に(実名で)書いており、とても興味深かったです。
この本で、柴田氏は、21世紀になった今では、
日本企業の従業員のロイヤリティは先進国でも最低と言われるようなり、
「経営層と社員の離反状況」が多くの企業に見られるようになってきたと書いています。
また同書では、経営と社員との間の信頼関係がきわめて希薄になっているということが
日本企業のチームワークを悪くしている最大の原因で、
このチームワークの悪さの結果が日本企業の低い生産性・利益率ではないか
という仮説が展開されています。
個人的には、利益率が低いことの主因がこれだとは言い切れないと思いますが
傾聴に値するのではないでしょうか。
私の経験でも、社長や幹部と社員との信頼関係が強い中小企業は
利益率が高いとは言えなくても、不況耐性が強いように思います。
それでは、経営と社員との間の信頼関係を取り戻すために必要な
ことはなんでしょう?
柴田氏によれば、経営幹部が
①自分の言葉で「こうしたい」と思いを語る(自分をさらけ出す)
②優先順位を示す
③軸をぶらさない
④徹底させる
⑤具体的にどうするかは部下に決めさせ部下を守る
こと等ではないかとのことです(一部表現を変えています)。
なかなか難しいことですが、姿勢として大事ですね。
正直言って、柴田氏の提唱される「風土改革」で
会社を変えるのはオーナーシップの強い中小企業には
向かいない手法ではないかと考えていましたが、
この本はとても勉強になりました。