数年前のことですが、ある会社の幹部と面談していたところ、
「(ああ見えても)実はうちの社長はイエスマンが好きなんですよ。」
という発言があり、これは面白い!と思いました。
「指示待ちにならずに自分で考えて動いてほしい」とか、
「もっと自分の意見を持って提案してほしい」とか
かっこいいことを言っても、本当は、社長(部長・課長・係長・先輩・・・)
である自分の意見に異を唱えられるのは、全く面白くないのが、
正直なところでしょう。
部下が、上司と異なる意見を具申し、しかもそれを通すというのは、
洋の東西を問わず大変と思います。
冒頭の発言をしたある会社の幹部は、非常に上手に自分の意見を
通していました。上に書いた基本がわかっているからでしょうか。
社長の考えをとても立てているような雰囲気を出しつつ、
やや異なる自分の意見も容れてもらっていました。
(今でも通用していることを祈っています。)
言っていることが正しいだけでは、受け入れられないわけですね。
当然と言えば当然です。
私自身の経験としても、経営幹部として中小企業に勤めていたとき
「正しい意見の通る会社を目指す」という経営方針を掲げていた会社で
数々の(私から見れば)「正しい」意見を社長に申し上げ、結局は
三顧の礼を持って迎えられたその会社を去ることになった苦い経験があります。
今から思えば、「正しい」のは社長に受け入れられなければ「正しく」
なかったわけで、私を支持してくれていた部下やお客様に迷惑をかけました。
3年半いたその会社で、一番社長にウケた私の発言は、
キャッシュフロー重視の経営に関することなどでは当然なくて、
「いやー会社を経営するって本当に大変なんですね。社長と接していて本当にわかりました。」
というヨイショの一言でした。
このときの嬉しそうな顔は忘れられません。
ああまた昔話になってしまいました。
前向きに活かしていただける方がいると幸いです。