池井戸潤さんの「ロスジェネの逆襲」を読みました。
半沢直樹シリーズ最新作です。
ここに出てきた電脳雑技集団の社長の妻・平山副社長に興味を惹かれました(マイナーですよね・・・)。
大阪の大きな商家の娘で世間知らず、社員を「養ってやっている」というのが本音で、
従業員の意見など聞く気は全くないという経営者として登場しています。
なかなかステレオタイプで面白かったです。
私が一緒に仕事をしている社長ではありませんが、
一族経営の三代目で、独裁的にバシバシと物事を決めていく人を知っています。
「世間知らず」との批判は全く気にせず(耳に届いていないのだけかも・・・)、
今までのやり方とか、世間的にどうなのかとか、従業員はどう思っているとか
全く気にせず、「合理的に」「冷徹に」なんでも決めていくわけです。
会社規模が大きいので成り立つ手法かもしれませんが、業績は悪くありません。
経営者のタイプを、
A「世間知らず」か「常識人」か、
B「独裁的」か「民主的」か、
でマトリクスにして、
業績の良い順に並べると、
① 「常識人」で「独裁的」
② 「世間知らず」で「独裁的」
③ 「世間知らず」で「民主的」
④ 「常識人」で「民主的」
になるように思います。
ともかく④の「常識人」で「民主的」な経営者が一番業績が悪そうです。これは
いろいろと気を使って、無理を通さない経営になってしまいがちだからです。
(私も経営者の端くれなので、冷や汗をかきながら書いています。)
①の「常識人」で「独裁的」という人はたぶんあまりいないので、
実質的には②の「世間知らず」で「独裁的」なタイプの経営者が率いる会社が
ひょとすると業績が一番良い傾向があるのかも・・・という
恐ろしい結論になってしまいました。
ある意味、カリスマ経営者はこのパターンの臭いがしますよね。
経営者の息子に、そのまま父(母)の会社に入るのではなく、
「違う会社で修行してからにしろ」とか「世間知らずになるな」とか
アドバイスする人もいますが、「世間知らず」の良さもあるので
他の会社で「常識人」「苦労人」になってしまうより、
直接父母の会社に入るか、修行は短めにしたほうがよいのではないかと
最近よく思います。
一倉定さんは、企業経営は「ワンマン」が正しいとおっしゃっていました。
人のせいにせず、自分が経営に責任を持つという意味では当然ですね。
ただし、人の気持ちがわからなくて良いという意味ではないと思います。
「常識人」「苦労人」もがんばってほしいです。