雪の残る中、今週も移動、移動の1週間でした。
新幹線の中や飛行機の中では、正直なところ疲れて寝ていることも多いのですけど、できるだけ本を読むようにしています。
割と最近に読んだ本で、特にお勧めのものを紹介させてください。
①「熔ける」大王製紙前会長・井川意高の懺悔録
著者はカジノで106億円失った方ですが、「懺悔録」という感じはなかったです。どちらかというと自慢の話も多く、それはそれでおもしろかったですね。
「とことん」とか「徹底的に」とかといった情緒的な言葉を会議で部下が使うと「とことん」叱責したとのことです。5W1Hならぬ5W2Hが会議では重要だそうですが、ちなみに最後のHは「how much」ないし「how many」とのことです。ともかく優秀な人だったと思うのですが、親父さんが厳しすぎて曲がってしまったのかと思うと、辛い気がしました。
②「振り込め犯罪結社」~200億円市場に生きる人々・鈴木大介著
振り込め詐欺の実効組織に絡むノンフィクションで、意外なほど考えさせらることが多かった本です。犯罪組織からの企業防衛と言う観点で経営者が読むべきところがあると思いますし、不謹慎ですが、組織論の勉強にもなりました。
③「上流階級」~福丸丸百貨店外商部・高殿円著
税務署小説「トッカン」がヒットした著者が、ノルマ月1500万円の百貨店外商部員(女性)の営業の日々を面白おかしく、そして感動的に描いた小説です。「お金持ち」の人たちを相手にビジネスするコツを理解するという上でも参考になりますね。タッチが軽いのが嬉しいです。
④「バランスシート不況下の世界経済」リチャード・クー著
483ページの大著です。バランスシートが傷んでしまって、企業が借金をしてお金を使わなくなったために(むしろ一生懸命に返済をする「借金拒絶性」になったために)、いくら金融を緩めても景気回復にはつながらないというバリバリのケインジアン理論を展開していますが、帯に「バーナンキ、クルーグマン、サマーズが認めたクー理論」と書いてあるように、説得力はありますね。性急な「財政再建論」の危険性についてもよく理解できました。麻生財務大臣を持ち上げているのは驚きましたけど。
⑤「俺のイタリアン俺のフレンチ」坂本孝著
常識破りのレストランの本です。「理論盲従」(理論が正しいと思ったら迷わすその理論に従って突っ走ることで、俺の・・の場合は、回転率が原価率をカバーするという理論です)のパワーと、資金の余裕があるとやはり成功する確率が高くなる(坂本氏はご存じのとおりブックオフの創業者です)という、当たり前ですが、重要な真理を再認識させてもらいました。
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実践での経験と読書による勉強(疑似経験)の両輪が、ビジネス力をUPすると思っています。ぜひ書店(やアマゾン等)でご覧になってみてください。