経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

グループ会社統合の時代

弊社の関与している中小企業ではグループ会社間の合併が相次いでいます。



最大の理由は、会社を分けていることでのメリットがほどんどなく、実際に発生している間接コストや見えていない「それぞれの会社が部分最適をめざしてしまう」コストが大きいからです。グループトータルでの税負担を抑えるという意味合いも小さくありません。



決算期の違う会社をいくつも作って、悪い時はグループ間取引で決算を「粉飾」して銀行対策をし、良い時は「逆粉飾」して節税するという考え方も昭和の時代には流行りましたが、もう今では時代遅れです。一応、「部門別採算を明確にする」とかいうお題目もありますが、利益調整(節税や銀行対策)が優先してなんだかわからなくなっていることがほとんどです。社内不正の温床になることもしばしばです。



グループ全体として業績がどうなのか?が経営者自身わからなくなってしまう危険性が大きいです。「そんなわけないだろ」と思われるかもしれませんが、苦境に陥っている会社の多くが、グループ会社を何社も持っていて「正確にはグループとしてどのくらい業績が悪いのかわからなくなっている」という事例は枚挙に暇がありません。



また、創業者が、何人かいる子供にそれぞれ「城」を持たそうとして、会社機能別に分社化することが昔ありましたが、百害あって一利なしです。別々の事業ならまだしも、同じ事業を分けて、責任の所在を曖昧にすることは、かなり長い期間にわたって問題を残すことが多いです。やはり最終責任を持つ一つの事業の後継者は一子相伝が望ましいです(一つの事業・一つの会社を兄弟姉妹で仲良くやってことは悪くないことですけど)。



もちろん親ですから子に対しては平等にしたい気持ちはわかりますが、経営者を引き継がない子には、事業以外の資産を分け与えるようにしたいところです。会社を無理に分けて子に与えることは避けてほしいです。



私の本「本当に強い会社を作るための新常識」(東洋経済新報社)でも、「機能別」分社経営が機能する時代は終わった、ことについて詳述していますので、どうか参考にして下さい。