「社長室を作ってほしい」と言ったのは、ある会社の幹部社員です。
社長自身ではありません。
以前、人材不足が宿命の中小企業で、社長という「一番できる」(とは限りませんが、まあ一応できるはず、あるいは会社のことを一番考えているはずの)人材の影響力を組織内で高めるためには、社長室などを作って社長がこもっている場合ではない、という趣旨のことを書きました。同時に社長自身が社内のことや社員のお客様対応(電話)の様子を知るためには、やはり社長室などないほうがよいとも。
そういったアドバイスを聞いてくれて即座に社長室をなくした動きの速い社長がいました。効果はあったように聞いています(そんなことだけで簡単に業績が上がることはないと思いますけど)。
社員にしてみると、社長の社員への関与が格段に高まりますので、「社長はいちいち社員の話に耳を立てないでほしい」「いちいち会話に入ってくるのは勘弁してほしい」「冗談もいえない」ということもあるしょうが・・・
繰り返しになりますが、冒頭の発言の主は、ある会社の幹部社員です(私とのインタビューの中でです)。
その会社は狭いオフィスに社長が中央に陣取っており(弊社も同じですが・・・)、社員同士の話や社員が電話している内容にいちいちケチをつけているようでした(これは私はしていません・・・たまにしか・・・)。社長室を作らないというメリット(?)を社長が全面的に発揮している訳です。
その幹部社員は、「自由闊達な話や本音の話が社長がいるとできない」「いちいち注意されるので皆が委縮して暗い雰囲気になる」「報告するときはきちんとするので、煮詰まっていない段階で口を出してほしくない」「考える力がなくなる」などなど、社長が狭いオフィスの中心にいて困る理由をあげていました。
まあ、わかることではありますね。メリット・デメリットがあるわけです。
私としては、以下のように考えます。
①社長の姿勢次第の部分が大きいように思います。あんまり細かいことまでいちいちケチをつかないようにすること、話を聞く姿勢も持つこと、毎回強圧的に出ないこと、などに気を付ければ「暗い雰囲気に」にはならないのではないかと思います。
②社長がずっと社内にいるというのが、そもそも問題なんではないでしょうか。
③狭すぎるオフィスは、人の電話が気になったりするのでそもそも集中力がなくなりますし、問題です。弊社もこれは同じなので考えなければならないと思っているところです。
が、そもそも「強烈な社長」の性格や姿勢を変えれないとすれば・・・
社長室はあったほうがよいかもです。
「とにかく効率が重視されがちな現在、いかに雑談やプライベートな話ができる空間を作り出すか・・・がどこの職場にとっても大きな課題になっています。」(「心が折れる職場」(見波利幸さん著、日経プレミアシリーズ)とのことですから。