経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

「観光立国の正体」にブレイクスルーはあるか?

藻谷浩介さんと山田桂一郎さんの「観光立国の正体」(新潮新書)を読みました。

このお二人、日本津々浦々での、地方再生の取り組みに絡んでいますねー。
佐世保では「市長ではなく市の担当者の退職が理由で」どうもうまく行かなくなっているようで、「佐世保バーガーを手始めにあれこれと仕掛けていた凄腕の女性職員が東京の人と結婚して町を出てしまったのが痛かった・・・」(藻谷さん)とか。とても詳しいです。
 
私自身、地方の企業の再生には結構噛んでいますが、商店街の再生とか、町全体の復興とか補助金っぽい仕事には距離を置いています。行政主導で「みんなで」再生的なのが、あんまり趣味じゃないのと、失礼ながらあまり儲からない感じがするからです。最初から「みんなでは」うまく行く可能性が低いように思われて。
 
しかし、地方再生にどっぷりつかっているこのお二人の対話を聞いていると、どうもちょっと反省しなければならないのではないかと思ってしまいました。機会があればもう少し関わってみようとかと。
 
それはさておき、参考になったのは、「安く売らないこと」の大切さです。
 
著者の山田さんは、富山県で「富山湾鮨」や「とやまの山幸」とかを考案して、周囲の反対を横目に、それまでの倍以上の単価で売れるようにしたとのことですが、この方が、山口県津和野の代表的な土産物の源氏巻を取り上げて、これが300円もしない値段で売られている・・安いからと何本も買っていく団体旅行客が多かった時代はとっくに終わっているのに・・・「材料を地元産に限定して一本1000円にしたほうが売れます。」と書いています。
 
源氏巻に限らず、いろんな商品について、(デフレが続き、安くなくては売れないという考えに毒されているため)価値に見合った売り方を見失っていることが多いのではないかと再認識させられました。
こんな風潮の中、この本に書いてあるように、中国人の「爆買い」でますます、安く大量に売ろうという発想になるのは危険ですね。
 
考え方を変えればうまく行くというものではありませんが、マーケティング(STP)をきちんとしないといけないもんだな、と考えさせられました。