本件、とても興味があり、経済雑誌をめくってみました。
週刊ダイヤモンド:「大西洋社長、痛恨の辞任劇:迷走する三越伊勢丹HD」
週刊東洋経済:「労組反旗で社長が辞任:混迷深まる三越伊勢丹」
日経ビジネス:「三越伊勢丹、自壊の予兆」
「迷走」「混迷」「自壊」と、どれもセンセーショナルな見出しです。
三越伊勢丹HDの17年3月期の業績は大きく落ち込む見通しとのことです。
売上高が前年比2.9%減の1兆2500億円、営業利益は同27.5%減の240億円の予想です。
百貨店の売上が低迷しているので、店舗リストラも不可避で、本当に大変なイメージです。
しかし、冷静に見れば、営業利益240億円は、2011年〜2013年のレベルよりも高いです。消費増税前の駆け込みやインバウンドの影響で、好業績だった2014〜2016年よりは悪いですけど。そもそも赤字で大変、というレベルではありませんよね。
オーナー系の企業であれば、社長が辞任させらる業績ではないことは確かです。
ここから私が思ったことは二つ。同族企業の強さと弱さです。
①そこまで業績が悪化していなくても、社長が、社員の支持(幹部社員の支持?、労組の支持?)を得られなくなったら退任を迫られるような企業では、リストラの断行なんてできるわけないでしょうから、それこそ長期低迷になるのではないでしょうか。そういう意味では、同族の中小企業(の社長?社員?)は恵まれているのかもです。まあ、同族企業でなくても、日本電産やFリテイリングではこういうことはあり得ないわけですが。
②逆に、社員の支持を得なくても辞任させらることのない同族の中小企業は、やっぱり長期的には発展しない危険性が高いのかもです。そもそも優秀だからではなく、同族ということで選ばれた社長(創業者を除く)が、本当の社員の支持を得るのは大変なのに、その努力(媚びるという意味ではなく、リーダーシップを発揮して社員に認められる努力などです)をそこまでは要求されないわけですから。
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「腰が低く、改革を愚直に進めようとした大西社長に「独裁者」の表現は似合わない。しかし、改革は一人ではできないし、自分の代だけでは完成しない。次世代リーダーの育成にどれほど本気で取り組んでいたか。」という日経ビジネスの指摘が、
「求心力を失わせたマネジメント手法。擁護する役員も不在。」(週刊ダイヤモンド)や
「こうした状況に追い打ちをかけたのが、大西氏のスタンドプレーともいえる言動」(週刊東京経済)といった文章よりも、重く感じられました。