経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

在庫の陳腐化の「痛み」を早めに表面化させる

前にも書きましたが、陳腐化した商品の原価はルールを決めてシステム上で下げていき、古い商品や製品が「モーレツな赤字」を出さなくても売れるように仕組んでしまうことが大事です。

 

評価を下げた時点で損益が悪化しますが、そのほうが、①損益を悪化させた行為(仕入・製造の失敗)と結果のタイミングのずれが少ない(すぐに反省を促せる)、②在庫処分を促せる、という点で比較にならないほどの効果が出ます。

 

在庫評価損を立てることになるので、税務上は難しい面もなくはないですが、国税庁のホームぺ―ジにも、

 

「いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること」

「当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより・・・云々」

が「棚卸資産の著しい陳腐化の例示」(9-1-4)と掲げられています。

 

上場企業は、会計上は評価を落とし、税務上は落とさないという対応をしている企業が多いと思われますが、私が幹部として働いていたアパレル企業では、商品のデリバリー月の翌月から5ポイントずつ上代に対する在庫評価率を落として評価していました。実際の税務調査では(議論にはなったものの)指摘事項になりませんでした。(税務は慎重な対応が必要なので、顧問の先生と相談して下さい。)

 

ともかく在庫の陳腐化の「痛み」を先送りせず、すぐに表面化させることが経営の見える化にダイレクトにつながりますので、ぜひご検討ください。