経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

新・生産性立国論

最近読んだ本で、最も面白かったのが、デービッド・アトキンソンさんの「新・生鮮性立国論」でした。

 

日本の企業の生産性の低さを徹底的に分析して、相当に強いメッセージを放ってくれています。

 

高品質・低価格路線が、人口減少の中で、いかにダメな戦法なのか、繰り返し述べた後で、

 

「日本はインフレがなく、金利もきわめて低く、社員は優秀で、最低賃金も異常に低い。これで儲からないとか賃上げできないと言っている経営者は、まさに『奇跡的に無能』」です。

 

と書いています。

 

また、「今、日本中で問題視されている企業の『事業承継問題』は、むしろ歓迎すべきです。」「中小企業庁が2017年にまとめた『事業承継5ヶ年計画』は、生産性の低い企業を温存してしまいうという意味で、非常に危険な政策です。」・・・「この考え方では、日本はいずれ滅びゆくでしょう。」

 

とも。

 

以下、雑感です。

 

最近の報道で、廃業した企業のうち5割は黒字だったのに、後継者がいないから止めることになったとか、言うのがありましたけど、まあ、あれは嘘に近いですね。きちんとした発生主義の会計をしたら赤字になるのではないか、きちんと給料(事業主の分も)を払ったら赤字なのではないか、機会費用を考えたら赤字なのではないか(自前の不動産だからなんとか成り立っている・・・)とか思いますので。

 

私も、アトキンソンさんと同様に、ダメな企業の廃業を促進して、全体の生産性を上げる政策が、これから人口減少に向かう日本では避けられないと思います。ダメにならないように企業を支援する仕事をしてますけど。

 

さて、この本や「新・観光立国」などのアトキンソンさんの著作はどれも面白いんですけど、どうも1980年代に読んだ大前研一さんの著作を思い出してしまいます(「世界が見える/日本が見える」「平成維新」・・・)。正しいことが書いてあったと思います。正しいんですけど、政治的に受け入れられないという意味で心配です。思えば、あの時代から30年間、日本は停滞しました。今度はそうならないとよいなあ、と切に思います。