経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

キャパシティーの余っている衰退産業で

毎月毎月出張は多いのですが、とくに先月〜今月は多くて、北海道・九州×2・中部×2、そして東北と回り、さすがにバテています。

昨日・今日は、久しぶりに家でゆっくりして、溜まっていた録画を見ていました。

 

そんな録画してあった番組の中で、6月7日放送のカンブリア宮殿で取り上げられていた「リナビス」の話は大変参考になりました。

ネットで受け付ける宅配クリーニングで業績を伸ばしている会社です。

 

ボタン付け、しみ抜き、毛玉とり、多少のほころび修理などを「おせっかい」で無料でやってくれるそうです。

10点で10,800円は、ダウンなどの重衣料を混ぜると相当に安いです。長期保管もやってくれますし。

 

私自身が使っているクリーニング店は、結構高いわりに、品質・納期ともにあまり満足してはいません。

しみ抜きは「できませんでした」と言われることも多いですし・・・。ネットを使ってみたくなります。

 

このリナビス(株式会社東田ドライ)は、もともと、兵庫県のローカルのチェーンで、高品質の上、ボタン付けやしみ抜きを無料でやってくれると評判だったということです。

しかし世の中的にクリーニングの需要が増えるわけではないので、売上は下がり、赤字でした。

 

もし、この段階で、経営コンサルタントに相談したら、ボタン付けにはいくら、しみ抜きはいくらとか、工数に見合った料金表を作りましょうとか、当たり前のアドバイスをしてくれてしまいそうです。

あるいは単にリストラとか。

(自戒の念も込めて書いています。)

 

でも、この会社、作業工賃(の実費)を変動費として考えても、原価利益としては相当にプラスだったわけで、要は、仕事が少ないので、総額の限界利益が不足している、つまり、売上の規模が小さいのが問題でした。

 

入社してきて、会社の赤字に驚いた社長の息子が、社長(父)の代までに築いたクリーニングの技術を活用して、ネットでの展開を図り成功したという、なかなかいい話に仕上がっていました。

 

ネット事業を始めたら、やたらと集まってしまった(さばききれない)洗濯物の前で呆然としている専務(社長の息子)をみつけたベテラン社員のおばちゃんたちが、洗濯ならもっとできるから任せなさい、と励ましたという感動秘話は、陸王の「こはぜ屋」を彷彿とさせてくれました。

 

しかし限界はあります。ところが、なにしろ産業として衰退気味で全体ではキャパシティーの余っているクリーニング業界なので、営業力さえあれば、他社に外注に出せるわけで、品質に気を使いつつも、実際にも同業に仕事をお願いしているようでした。

(最近上場したラスクルなども、キャパ余りの印刷業界で同じことをやっていると思います。)

 

テレビでは取り上げられていませんでしたけど、急ぎでない季節品(とくに重衣料)のクリーニングを受けて、長期保管してあげると言えば、納期の調整が楽になるため、負荷の波は小さくできることなどもポイントではないかと思います。

また、実は、料金設定とかにも、いろいろと工夫がありあそうです。

 

なんだかビスネススクールのケースになりそうな、含蓄のある話でした。