経済産業大臣認定 経営革新等支援機関

経営者保証の解除が進むと

経営者保証に関するガイドラインが発表されてから5年が過ぎ、実際に中小企業向けにも経営者の保証を求めない貸付を行う金融機関も増えてきました。もちろん会社業績や保全状況によるとは思いますけど。 それ自体は経営者にとって良いことですし、後継者にとっても良いことです。また、業績不振企業の法的整理や廃業、さらには再チャレンジの促進にもなると思いますのでその意味でも良いことと思います。 

ほとんど中小企業の場合、大株主である社長が、金融機関に個人保証をしてきました。で、経営者が代替わりする際は、社長の息子や娘などが、個人保証を引き受けて、新社長になっています。ある意味、同族以外で多額の借金の連帯保証をする人物はいませんので、当然と思われてきた訳です。

 しかし、ここに来て、同族が社長を引き継ぐ正統性が問われていると思います。 借金が多い企業の保証人を引き受けるのは、同族しかいないので、同族が社長になるのは当然というのが従来でしたが、個人保証の問題がなくなったら、同族ではなくても、能力の高い人が社長をやるべき、という話になります。

 いろんな2代目、3代目を見てきましたが、同族というだけで、あるいは先代の意向だけで、社長になった人も少なくないと思います。それなのに、何故、社員に対して、あんなに偉そうなことが言えるのか、と思う場面も正直なところよくありました。能力が高いという理由で社長になった訳ではないのですから。 

個人保証の問題がなくなることで、所有と経営の分離が進めば、中小企業の生産性は、グッとよくなるかもしれません。 同族と言うだけで社長になった人にとっては、何故、あなたが社長なのか?と問われる厳しい時代になったようです。 また後継者の選定に際して、自分の子どもよりも有能な人材を見つけて、その人に経営をまかせ、子どもは株主として見守ることにさせる、という形が増えてくるかもしれません。